ドクターズプライムの高橋京輔です。インターネットではきょすーけ(@kyosu_ke)というアカウントで活動しています。 ドクターズプライムでは共同創業者/取締役/プロダクトマネジャー/プロダクトオーナーあたりをメインで担当しています。
普段は About Productという個人ブログで割と硬めで気取った文章をポストしているのですが、今回はゆるいテンションで書きたいと思います。
今回のテーマは「やるべきことにフォーカスする仕組み」についてです。
やること多すぎ問題
突然ですが、スタートアップで働いていると常に足りないリソースの中で、いろいろなことを同時並行でやらなくちゃいけない瞬間があると思います。 当然フェーズにもよるとは思うのですが、なんならそういう瞬間しかないわな、というのが私の体感です。
つらくないですか、つらいですよね。
その一方で、一般的には「集中と選択」とか言われるじゃないですか。「いろいろ手を広げすぎでフォーカスしてない」とか。 あっちの対応してたら、こっちが火を吹いたり、そうこうしてるうちにあっちで嬉しい悲鳴が上がったりとかとか。
そして気づいたら大事なことに手がついてないまま一日が終わりかけてたり。
しんどくないですか、しんどいですよね。
やるべきことにフォーカスするための仕組み
そこで、半年くらい前から「やるべきことにフォーカスするための仕組み」を取り入れています。
「マストワン Check In / Out」という仕組みです。
必ず終わらせることを1つだけ選ぶ
マストワン Check In / Outとはなにかというと、各自が「今週必ず終わらせる一番大事なことを1つ決めて共有する仕組み」です。
とてもシンプルなのですが、その分効果は大きいです。(詳しい運用ルールは後ほど)
元はサイバー用語
これがどこから来たのかというと、元々は私が新卒のときに勤めていたサイバーエージェント社でよく使われていたいわゆる「サイバー用語」です。
今日のマストワン、今週のマストワン的な使い方だったり「マストワンキャンペーン」のように社内キャンペーンに使われてた言葉です。 意味合いとしては「必ず一個達成しきろう」的なニュアンスを持っていたと記憶してます(違ってたらすみません)
ちなみにサイバーエージェントで人事担当執行役員をなされている名物人事部長、ソヤマンこと曽山さんもご自身のYouTubeチャンネルでマストワンについてお話されてます。
具体的な運用ルール
マストワン Check In / Outは週次のルーティンで機能します。具体的には以下のようなフローで仕組みが回ります。
- 週の始めにチームメンバーで集まってマストワン Check In MTGを実施します
- そこで各自自分の持っている業務の中で「これは確実に終わらせるぞ」という仕事(=マストワン)を宣言します
- 週の中頃はめっちゃがんばります。必ずマストワンを達成するべくがんばります
- 週の終わりにまたチームメンバーで集まってマストワン Check Out MTGを実施します
- そこで、週の始めのCheck Inで宣言したマストワンの進捗を発表します
このCheck OutでマストワンがDONEにできてないと悔しい感じになるので週中にがんばります。「自分で一番大事だと決めて宣言したことひとつすら終わらせられないのかよ自分…」ってなるので、がんばるしかなくなります。
良い意味でのピアプレッシャー(同僚同士の良い緊張関係)が掛かるので、自然と一番重要な仕事が進捗していきます。
ドクターズプライムのケースではこのような運用になっています。MTGと言っても10分〜15分のスタンドアップMTGです。
- 月曜朝イチ(11:45~12:00) : Check In MTGを実施
- 週中: めっちゃ頑張る
- 金曜終業時(17:45-18:00): Check Out MTGを実施
※コアタイムが12:00-17:00 かつ金曜はAll Hands MTG(全社定例)が18:00からあるので週始め、週終わりのMTGタイミングが変則的になっています
また、以下のようにNotionにマストワンCheck In ページを作ってリストテーブルで管理しています。この週次のページを元にしてCheck In / OutのMTGを進めています。
マストワン Check In / Outの狙い
企画当初、以下を狙いとして設計しました。
- 【イシューアナリシス効果】週始めのCheck In MTGに向けて「今週、なにが一番大事なことなのか」を自然と日曜夜〜月曜朝に考えるようになる
- 【ノーエクスキューズ効果】強制的に一個に絞り込むことによって、言い訳できなくなる
- 【ピアプレッシャー効果】チーム内で宣言することによってDONE状態にしたいインセンティブが強まる
これらの3つの効果によって、「本当に一番重要なことに絞り込まれ、かつそれを完了させることに意識が強く向く」といいなあと思って作りました。
予想外の良い効能
運用をしてみてどうかというと、元々の狙いに掲げていた3つの効果は実際に実感できて、まずまずの良い仕組みになったなと思っていますが、それだけではない副次的な効能もありました。
それは横にいるチームメンバーが「今週はなにを一番重要視してて、なににフォーカスしてるのか」というのがお互いにわかるようになったので、チームの摩擦が減ったことです。
例えば、今週は「○○という機能をリリースする」ということをマストワンに掲げているひとがいれば、そのコードレビューは早くやってあげたほうが良いなという理解につながります。
例えば、急な差し込みでレビューや依頼が来たとしても「このひとのマストワンだったし重要なんだろう、なんとか協力しよう」という気持ちが起きやすくなります。
背景やコトの重要度合いが事前に自然と共有されるので、人と人の間の摩擦が小さくなりました。
これは当初期待していなかった嬉しい効果でした。
運用上の注意点
ここからは実際に取り入れてみようと思っていただいた方向けに、運用のノウハウを書きたいと思います。
こんな感じで週次のドキュメントの上部に固定で注意書きを書いているのですが以下が大切です。
- 低いコミットメントで置きに行かない
- 達成できる粒度にする
- 曖昧な表現にしない(e.g. ○○が回る仕組みをつくる、○○の大枠を考える)
- タスクリストにしない
低いコミットメントで置きに行かない
「マストワンだから達成できないと恥ずかしいし、確実に終わるやつにしちゃえ」みたいな感じで低い目標設定をすると、毎週達成しているのになぜか全然進捗しないという事態になります。あとシンプルにちょっとダサい。
達成できる粒度にする
置きに行かないのも大事なのですが、ぶち上げ過ぎないのも大事です。ムーンショット的なものを掲げて結局マストワンなのに「達成されなくて当たり前」になっちゃうのでは意味がないです。
曖昧な表現にしない
「○○が回る仕組みをつくる」「○○の大枠を考える」とかのふわっとしたやつです。終わったのか終わってないのか明確になる表現のほうが良いです。なんとでも言えちゃうので。
タスクリストにしない
細かいタスクを書き連ねてタスクリストにしちゃうのもアンチパターンです。ひとつの「タスク」というよりは一番重要かつ終わらせるべき「仕事」を書くのが良きです。
FAQ(よくある質問)
Q: チームやプロジェクトを兼務してるので、優先度・重要度を比較できないのですが。
A: プロジェクトごとに一番大切なものをマストワンにすると良いです。なので2つプロジェクトを兼務しているひとはマストワンをそれぞれ設定します。
Q: 置きに行かないようにするとストレッチ目標と必達目標っぽいものが出てきちゃいます。
A: 同じマストワンでも強度が異なるのはよくあると思います。私のチームでは「ストレッチ」と「ジャスト」というラベルを貼って管理していて、「ストレッチ」が達成されると「すごい!さすが!」ってなります。
おわりに: 気楽に継続するのが大切
いろいろ書きましたが、一番大切なのは継続することかなと思います。
実際、私もなんだかんだで未達なこと多いですし、ひとりのひとが同じプロジェクトでマストワンを複数個上げてることもあったりします。 「あ、ちょっと置きに行っちゃったな」という週もあれば、「ぶち上げ過ぎて全然意味ない目標設定だったな」って週も多々ありました。
あまり目くじらを立てずにゆるやかな雰囲気で個々人が自分に適切な度合いのピアプレッシャーを受けられる場として機能するとベストかなと思います。
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