こちらはドクターズプライム Advent Calendar 2021の14日目の記事です。これまでの記事はこちら。
ドクターズプライムの福田文太です。本日はドクターズプライム Advent Calendar 2021の 14日目の記事として、ドクターズプライムの中にプロジェクト横断組織として存在している「Product Ops」チームについてご紹介していきます。
Product Opsとはなんぞや?
そう思った方も多くいるかと思います。実際にグローバルな企業においては明確に定義されて置かれている職種ではあるのですが、国内においてはあまり耳にしない職種だと思います。
海外での実例
そもそも、「Product ops」とは何なのか?実際にProduct Operationsチームを設置しているStripeを例に見てみましょう。
Product Operations builds the connective tissue between product and user-facing teams, increasing leverage, so that Stripe can ultimately deliver more value to more users, faster.
https://stripe.com/jobs/listing/product-operations-manager/3519985
Product Operationとはプロダクトと顧客に向き合うチーム間に結合組織を築きレバレッジを上げる活動のことを指し、その結果として顧客により大きな価値を早く提供できるようになるとStripeでは定義しています。
You’ll be responsible for building strong connections with user-facing teams (support, sales, account management, etc), ensuring a tight product feedback loop, and coordinating smooth, high-quality feature launches.
また、Product Operation Managerを担う者としての責任範囲は、(サポート、セールス、顧客管理など)顧客に直接向き合うチームと密な連携を構築して、プロダクト改善の堅実なフィードバックループを回し、スムーズで質の高い機能リリースを担保することと明記されています。
StripeにおけるProduct Operationの果たす役割は、プロダクトと顧客に向き合うチーム間の接続を行い、レバレッジを上げるための活動をするチームという感じでしょうか。
ドクターズプライムにおけるProduct Ops
一方、ドクターズプライムではProduct Opsを次のように定義しています。
*「プロダクトを提供するにあたって必要な各種オペレーション・ビジネスプロセスの設計・最適化・実行を担うチーム」 *
その中で実際における意味合いとしては大きく三つの役割を担っています。
- プロダクトを開発していくにあたり、ユーザーからの適切なフィードバックや定量的なデータを収集することを助ける
- 顧客・ユーザーとプロダクト間の間隙を埋めていく
- 実行Operationのスループットを磨き上げる
各役割のなかで実際にどういったことをおこなっているのか、簡単に説明していきます。
ユーザーからの適切なフィードバックを集める
ドクターズプライムではユーザーである医師に対して、連日のようにユーザーインタビューを行っています。その取り組みに関してはこちらの記事で紹介しているので気になる方はぜひご覧ください。
ユーザーインタビュー自体も現在はProduct Ops主導となり、提供しているサービスを医師がどのように受け取っているのかのフィードバックを得る機会として引き続き実施しています。
Prodcut Opsとしては主にユーザーインタビューのセッティング、各チームから募った質問事項の吸い上げ、医師とのインタビュー前後のコミュニケーション、インタビュアーとしてインタビュー全体の運営を行っています。基本的にはユーザーインタビュー実施に関わる全てを担い、その中で得られたインサイトやプロダクトフィードバックを組織に還元していくというところまでやり切ることを目標とし実施しています。
また、ユーザーインタビューを通してのみではなく、顧客・ユーザーからのお問い合わせや、弊社で重視している医師・病院間での相互評価を通してのプロダクトフィードバックを検知するというのも役割として担っています。いわば、顧客の声を一番に察知し、速やかに組織やサービスに還元していく役割でしょうか。
作り込む前段階でのプロダクト価値の検証
また、各チームが提供する(していく)サービスをいかにしてスムーズかつ適切に顧客・ユーザーに伝えていくのかもProduct Opsの役割です。新機能や施策をミニマム開発で提供できる可能性を探り、その後Operationにより検証が十二分にできると判断できれば、その役割を各チームのオーナーとともに行っていきます。Operationの設計から実行までを行い、機能検証の仕組みを担い、完全Product化されるまでのいわば橋渡しをやるのがProduct Opsの役割です。
Operation Excellence の実現
とはいえ、橋渡しとしてOperationをただ漫然と実行してカバーするのではなく、Operation excellenceを磨き上げることで、チーム・組織のスループットをあげていくことも大事な役目です。
Operationの実行となると、どうしても機械的に漫然と目の前のタスク消化に陥りがちです。これはどの組織でも起こりうることでしょう。ただ漫然と機械的に行っていくのではなく、Operationをマニュアル化して誰が行っても差分なく提供できる状態にした上で、前提を疑う姿勢でOperationの改善を行い、人で行う部分をいかにツールや機械に任せていけるようになるまで持っていくのかがOperationを実行するものとしての責任範囲だと考えています。こうしてチーム・組織としてもOperation実行のスループットを磨き上げることもProduct Opsの使命でもあります。
Product Opsを置くメリット
価値提供のラストワンマイルを埋める
Product Opsを明確に設置することによるメリットとしては、サービスを淀みなく顧客・ユーザーに安心して提供できることにあると思います。殊、弊社のようなアーリフェーズのスタートアップにおいては、ユーザーニーズに沿った、または戦略上検証していくべき機能や施策をスピード感高めて進めていく必要があると思います。検証したい機能や施策をMVP(Minimum Viable Product) 的な開発を進めていく中では全てをフルスクラッチで開発していくというのは、潤沢な開発リソースがあるわけではないスタートアップにおいては難しいのかなと思います。
そこで、より低コストでよりスピーディな検証を進めるためのミニマムなプロダクト開発をした上で、顧客・ユーザーに価値を届けるためのラストワンマイルを埋めることができるのがProduct Opsなのだと思います。プロダクトだけでは伝わりきらないサービスの最後のピースを、Operationの力で適切にかつ迅速に伝えることで、組織内の提供イメージと、顧客・ユーザーが受け取るサービスイメージをマッチさせることができる、それこそがProduct Opsを置くことのメリットなのではと思います。
Product Ops 設置の注意点
とはいえ、Product Opsを置くことへの注意点もあると考えています。挙げるとするならば、チーム間コミュニケーションをより適切に密に取っていく必要があるということかなと思います。各チームが開発した機能、進めてきた施策というのがなぜ生まれてきているのか、その中でProduct Opsがどういう役割を果たすべきなのかというのをしっかりと汲み取り・理解しておかないと、本来の意図とは異なる形で顧客・ユーザーに伝えかねません。
また、間隙を埋める役割だからこそ、各チームとコミュニケーションをしっかりとり双方の役割の期待値を揃えておかないと、相互間でお見合いになってしまう可能性もあります。そのため、通常のチーム間連携よりも一層チーム間コミュニケーションを取っていくことが必要とされます。
Product Opsに求められる姿勢
ドクターズプライムでは呼吸をするように、日々新たな施策が練り上げられ新チームが勃興します。横軸組織であるProduct Opsとしては、その流れを察知し常にサービス提供側と受け取る側の中でのギャップを埋めていくための動きをしていくことが求められます。新チームの立ち上げや各チームで何かしらの新施策が始まる際にはそれぞれのキックオフにできるだけ参加して(参加できない場合はドキュメントを漁り、担当者との認識を揃える)、一次情報として認識する必要があります。関わるチームとしては他チームと比べてかなり多いかもしれません。その分、ある種提供しているサービスに関して一番広く認識できているチームでもあるかもしれませんし、その必要があると私は思っています。
Product Opsが目指す方向
ここまで、Product Opsは他チーム間と連携をとり、サービス提供のラストワンマイルのOperation実行を行うことが役割だとお伝えしてきましたが、本質的にはOperationの実行そのものは自動化されていくべきだと考えています。Product Opsとしてはチーム間で生まれるラストワンマイルのOperationをいかに自動化・機械化し、自分たちが直接実行しなくて良くなるか、いわば余裕を作れるかが重要になります。特にOperationに限って言うならば、ゆとりを持って挑むのか、それとも切羽詰まった状態でギリギリの状態で行うのかでは圧倒的に事故発生リスクが変わってくると思います。生み出した時間で次のOperation設計を行う、はたまた、より多くのユーザーから生の声を拾い上げていく、サービスをより良くするにはどうすれば良いのか思考できる時間に注力できるように心がけています。
おわりに
今回はProduct Opsチームの紹介をさせていただきました。
冒頭にもお話ししましたが、「Product Operationsといえばこんなチームだ!」というのはまだ一般的な共通の定義がなされておらず、ドクターズプライムのProduct Opsチーム自体もまだまだ未熟なチームなので、これからよりその在り方などを少しずつ明確にして行きたいと思っております。Product Opsが橋渡しとなり、より良いプロダクトが適切かつスピーディに顧客・ユーザーに届けられるよう、ラストワンマイルのお届け人としてこれからも頑張っていきます。
一緒に働く仲間を募集しています
ドクターズプライムでは「救急車のたらい回しをゼロにする」というビジョンの実現に向けて、病院向けのSaaSプロダクトおよび、医師/病院間の最適なマッチングを提供するマッチングプラットフォームを展開しており、一緒に働く仲間を募集しています。 まずはカジュアルにお話ししてみませんか?