ドクターズプライムでは、毎日誰かがユーザーインタビューを行っていて、それを社内の誰でも聞けるようになっています。
具体的にどのような取り組みをされているのか、カスタマーサクセスの千珠さんと、プロダクトマネジャー兼データアナリストのanbooさんにお聞きました。
この記事に登場する人
鈴木 千珠 (@senju)
2020年8月からドクターズプライムに長期インターンとしてジョインし、BizDevとして地域や病院の採用・救急課題に取り組む。2021年4月にドクターズプライムに新卒入社し、現在はカスタマーサクセスを担当。
大塚 杏里 (@anboorin)
メルカリに新卒入社し、PM・データアナリストとしてGrowth Marketingに取り組む。半年間の業務委託期間を経て、2020年4月にドクターズプライムに入社。現在はデータアナリストとプロダクトマネジャーを兼務する。
試行錯誤を経て行き着いた、Huddle中継という仕組み
—どのような取り組みをしているんですか?
anboo: ドクターズプライムでは、毎日のようにユーザーインタビューの社内中継が行われています。
Google Calenderにユーザーインタビューの予定が共有され、時間になると専用のSlackチャンネルで実況スレッドが立ち上がり、Huddleで音声が共有されます。所属や職種に関係なく、誰でも気軽にユーザーの声を直接聞くことができます。
—なるほど、どのような経緯で始まったんですか?
anboo: 今ドクターズプライムには大きく分けて、BizDev(事業開発)・PdM(プロダクトマネジャー)・SWE(ソフトウェアエンジニア)という3職種があります。
その中でBizDevがユーザーと直接やり取りする機会が多いのですが、ユーザーの声などの一次情報がBizDev内に閉じていてPdM・SWEがアクセスしにくい、という課題感がありました。
そこで、情報共有用のSlackチャンネルを作成したり、情報をストックしていくNotionテーブルを作ったり、ランチの時間で学びを共有するLunch&Learnの会を月1で開催したりと、いろいろな取り組みを試みたのですが、もっと良いやり方がありそうだなと感じていました。
そうして色々と試行錯誤する中で辿り着いたのが、SlackのHuddle中継です。
—他の共有方法よりも良かったのですね
anboo: 他の情報共有の取り組みも続けてはいるのですが、一次情報にアクセスできる・インタビューに介入できる、というのは中継ならではの価値ですね。
今までの共有方法は、事後的に加工された二次情報を受け取る形であったため、どうしても得られるインサイトに限りがありました。
ですが今はHuddleでユーザーの生の声を聞きながら、気になることがあればインタビュアーにSlackで聞いてほしいことをメンションして伝えられますし、場合によっては「ちょっとそっち行きます!」と途中から混ぜてもらって、自分で直接ユーザーに質問したりもできます。
senju: 手軽なのも大きいですね。5~15分くらいのショートインタビューが多いので、Slackのボタンひとつで簡単に中継できるのはありがたいです。
また、今までの共有方法だと「どこまで共有しようかな」と迷ってしまうことが多かったのですが、今はHuddleを繋ぎながらSlackで実況する形式なので「そこまで報告することじゃないかな」ということも、つぶやきみたいな感じで共有できるのはいいなと思っています。
—Huddle中継でどんな効果がありましたか?
anboo: 社内全体のユーザー理解が進んできていると思います。それによって、社内のコミュニケーションコストが下がったり、職種問わずいろいろなところからアイデアが出るようになったり、素早い仮説検証によって自信を持って打ち手を決められたりと、嬉しい効果が出てきています。
私たちのサービスの利用者は医師と病院担当者なので、ほとんどのメンバーにとって自分自身がリアルなユーザーになることは難しいです。
そのようなサービスにおいて、全員が気軽にユーザーの生の声を聞けて、ユーザー像の解像度を高められるというのは、特に価値が高いなと思います。
毎日インタビューができるのは、ユーザーとの関係値が作れているから
—千珠さんがインタビューすることが多いのですよね
senju: 最近だと他のチームも結構インタビューをしていますが、そうですね。業務上、医師や病院担当者の方とのやり取りはほぼ毎日しているので、その中で一緒にインタビューも行っています。
—千珠さんはどのような業務をされているのですか?
senju: 私のメインの業務は病院のカスタマーサクセスです。ドクターズプライムの事業としてアルバイト医師のマッチングというのがあるので、病院が医師を採用できるようにサポートをしています。
先生からの勤務に際してのご質問にお答えすることがあったり、顧客病院に勤務できる他の医師を紹介していただけるようこちらからお願いすることもあります。
—先生との距離が近いお仕事なんですね
senju: いつもドクターズプライムでアルバイトを探してくれている先生だとやり取りする頻度も多いので、フランクに色々とお話いただける間柄になれているのかなと思います。
anboo: 関係値のある先生に気になったことをすぐに聞いてもらえたり、雑談の中から思いがけない気付きをもらえたりと、とても助かっています。
—インタビューする上で気をつけていることはありますか?
senju: 先生の体験を損ねないように気をつけています。先生によってコミュニケーション手段を変えたり、過去のインタビュー履歴を確認して質問が重複しないようにしたり、限られた時間内に収まるように段取りをしっかり組んでからインタビューしたりと、色々と工夫をしています。
また、背景や理由を深堀りする、ということを意識しています。いただいた意見について、なぜそう思うのか、どういう時に感じるのか、などを詳しく聞いています。先生の行動ログをSQLで抽出して、具体的な行動の理由について質問したりもしていますね。
ユーザーインタビューと定量分析を組み合わせた意思決定
—インタビューの依頼は、どういった時にするんですか?
anboo: 色々ありますが、定量的なデータ分析で気になることが見つかった時に、その原因を調査してもらうことはよくあります。
例えば最近だと、マッチングプラットフォームに掲載する求人の幅を拡大し、掲載量が2ヶ月で約10倍になるという変化がありました。
その時に、ヘビーユーザーの行動指標が全体的に下がり始めたので「これはまずいぞ」ということで、いくつかの仮説を立ててヘビーユーザーにインタビューをしてもらいました。
senju: 開始してすぐに、検索性に課題が生じていることがわかりました。様々な種類の求人が大量に掲載されたことによって「見たい求人に辿り着けない」という事象が起きていたんです。
サービスをよくご利用いただいている先生方に、検索機能の利用状況や検索性の不満などについて詳しくインタビューしました。既存の検索機能の活用方法のご案内も含めて、2日間で50人ほどの先生とお話しましたね。
*anboo: * インタビュー結果を踏まえて、プロダクトチームでの検索性の改善の優先度を大きく上げました。実際インタビューの数日後には、新しい検索機能を3つリリースしています。
他にも、求人の掲載基準を変更したり、検索機能の認知施策を打ったりとスピーディに対応したことで、下がり始めていた指標はすぐに回復しました。
*senju: * 異変の検知から機能リリースまで1週間とかからず、スピード感がすごかったですね。
*anboo: * 将来的に予定していた抜本的な検索導線の改善も優先度を繰り上げ、現在ちょうど開発チーム一丸となって取り組んでいるところです。
—定量分析による気づきから、ユーザーインタビューを行っているんですね
anboo: そうですね。逆に、ユーザーインタビューで新しい発見があり、それを元に定量分析をすることもよくあります。
1人の意見が、どのくらいのボリュームのユーザーに当てはまるのか、どの属性のユーザーで見られる傾向なのか、などを定量的に確かめて、打つべき施策や優先度を決めています。
これから取り組みたいことはありますか?
anboo: ユーザーインタビューの技術って奥が深いと思うのですが、まだまだ感覚でやっているところが大きいので、社内で勉強会などを実施してインタビューの水準を上げていけると良いなと思っています。
また、1年近く取り組んでいたリファクタリングが落ち着いてきて、これからUIの大幅な刷新や機能追加、新規サービスの開発などを控えているので、コンセプトテストやユーザビリティテストなどにもより積極的に取り組んでいきたいです。
senju: あとはフィールド調査の機会をより充実させていきたいですね。
これまで、会員医師が実際にアルバイトをしている現場にお伺いする「当直見学」を職種・所属問わず参加できる形で定期的に実施してきました。色々な発見があってとても良かったという声が挙がっているので、より多様なシーンで病院で働く方々のことを知れる機会を作っていきたいと思っています。
一緒に働く仲間を募集しています
ドクターズプライムでは「救急車のたらい回しをゼロにする」というビジョンの実現に向けて、病院向けのSaaSプロダクトおよび、医師/病院間の最適なマッチングを提供するマッチングプラットフォームを展開しており、一緒に働く仲間を募集しています。
まずはカジュアルにお話してみませんか?
データ活用についてや、ドクターズプライムの事業や組織のことなど、ざっくばらんにお話します。