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スタートアップ 一人目デザイナーよもやま話(後編):スタートアップで活きるスキルとその先

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ドクターズプライムが一人目のデザイナーの募集をするにあたり、サイバーエージェント,メルペイ,THEO,400F等のスタートアップで活躍されたデザイナーのお二人をゲストに迎え、「スタートアップ一人目のデザイナー」をテーマに、スタートアップ一人目のデザイナーに求められる要素やデザイナー採用の進め方などについてお話を伺いました。

前回の記事はこちら

blog.drsprime.com

この記事に登場する人

akariyamashita

山下 あか理 (@AkrYmst)

大学卒業後ベンチャー制作会社に勤務、その後2年間サンフランシスコにてCyberAgent America, Inc.の立ち上げに参加。2013年に帰国・独立後、現在はTHEO,400FなどFintechサービスの立ち上げを経て、現在はフリーランスとして働く。

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白鳥 友里恵 (@shiratoriyurie)

サイバーエージェント、メルペイを経て独立。独立後はフリーランスの事業デザイナーとして数々のサービスデザインを手掛ける。現在はデザインスクール「Designship Do」の事業責任者として、デザイナーの一歩先のキャリアを後押しする。

kyosuketakahashi

高橋 京輔 (@kyosu_ke)

サイバーエージェント、メルカリでプロダクトマネジャーとしてプロダクト開発に従事したのち、ドクターズプライムを代表の田(でん)と共同創業。ドクターズプライムでは、プロダクト全般、およびコーポレート全般を管掌する。

どうしたら"良いデザイナー"を採用できるか

スタンスを明確に謳ったほうがスタートアップ向きのデザイナーに刺さる

kyosuketakahashi高橋(以下、kyosuke)前回、スタートアップ一人目デザイナーに必要な要素として「デザインワークへの執着を捨てられるか」や「最終目的をビジネスの継続とグロースにおけるか」などが上がってきました。本当に仰るとおりだなと思いつつも、採用活動をする会社側としては葛藤があるなと思っています。

例えば「とにかく早く出して一秒でも早くPMF達成して売りを立てたい」って打ち出しをしたら、候補者のデザイナーからすると「この会社、デザインの重要性を理解していないんだな」というメッセージになって志望度を下げてしまうんじゃないかなと危惧しています。

yurieshiratori白鳥(以下、スワン):意外とコミュニケーション方法で変わると思います。整いすぎているとつまらないなと思って来ないデザイナーや、野が荒れているほうがやりがいがあって入りたいというデザイナーもいて、そのスタンスを明確に謳ったほうがスタートアップ向きのデザイナーに刺さると思うので、言ってることは同じでもニュアンスを変えればお互いにポジティブな結果に繋げられると思います。

swan

akariyamashitaあか理:あとやっぱり基軸がデザイナーということで募集するのであれば、しかも一人目ということはその人が作ったものがダイレクトに世の中に出るわけなので、レビュー無しでも平均以上の物を一人で作れるクリエイティブ力が無いと厳しいと思います。UIを作るコストそのものは下がっていて、非デザイナーでもそれなりのものは作れる時代になっているからこそクリエイティブ力をある程度重視したほうがいいなと。

ビジネスサイドの事業に対する感度とか予算に対する感度とか、デザインの力を持ってビジネスを推進できる人がいいと思うんですけど、それを持ちながらもやっぱり、作るってことに対しての一定レベルの理解とスキルが必要っていうのが、採用を難しくしている部分だなとつくづく思います。

ここで話してるスキルってものすごく定性的で数値化しづらいので、集合知になりにくくて、良いデザイナーの定義や要素とか、自社が求めてるデザイナー像が本質的には言語化されてない、この状況ってすごく課題だなと思います。

既存メンバーのスキルセットの可視化からはじめる

yurieshiratoriスワン:例えばN角形のスキルグラフみたいなものを書いて、少なくとも既存メンバーが持つスキルセットの可視化みたいなことができたら、最低限の型化はできそうだなと思いつつ、それはそれで作るとしたら膨大だなーってずっと思っています。

akariyamashitaあか理:え、そのフォーマット作ってくださいよ。そしてデザイナーのポートフォリオには絶対そのフォーマット埋めたものを添付して貰うようにして。

yurieshiratoriスワン:つくるか〜〜、それすごく需要ありそうですね(笑)いやでも共通フォーマットを作るかどうかは置いておいて、既存メンバーを踏まえた上で、デザイナーに何を求めるかっていう話になるので、そのアプローチだと比較的進めやすい気はします。

akariyamashitaあか理:うんうん、そうなんですよね。既存のメンバーで埋められているところを可視化して、今足りないことの言語化からはじめるってのは正しいアプローチだなって思いました。

kyosuketakahashikyouske:なるほどなー。なんでも備わってる人を求めると無理ゲーになりますもんね。それでいうとドクターズプライムだとグラフィックの部分とフロントエンドの部分が一番チームで欠けている要素ですね…。そう考えていくと良いんですね。

スタートアップで活躍するデザイナーになるには

本当に重要なのはヒト・モノ・カネの理解

kyosuketakahashikyouske:採用活動を始めるにあたっての第一歩はイメージできたのですが、スタートアップ向きのデザイナーが育ちやすい環境ってあるんですか?

akariyamashitaあか理:制作会社に長くいた人ってデザインスキルがめちゃくちゃ高かったりするので、制作会社出身でたまたまスタートアップでイチから事業やってみたいとかいう奇特な人がいたらバッチリなんですけど、 デザインスキルとスタートアップマインドを両立している人ってなかなか居ないんですよ。結局そういう人を育てる土台がないので、ここに行ったらいるよというのがないんですよね。

kyosuketakahashikyouske:それこそまさにスワンさんがやっているデザインスクール事業 Designship Doって、その課題に取り組んでいそうですよね?

designship do
第二期のエントリーが始まるDesignship Do

yurieshiratoriスワン:スタートアップのデザイナーだけに絞ってカリキュラムを提供しているわけではないのですが、デザインスクールと言いつつも実態はデザイナー向けのMBAに近いところがあるかなと思っています。これはここまで話してきた越境的なスキルってあまりに多面的すぎて、なかなか一人で学んだり自然と身につける機会が生まれにくく、もはや運と呼べるほど再現性がこれまでなかった。だからあえてデザイナー向けに直球で必要なビジネス知識とか、ピープルマネジメントスキルとか、それこそリサーチとかの知識をさまざまな現場の最前線の講師から学び、インストールしていくということを実験的にやろうとしています。

kyosuketakahashikyouske:じゃあグラフィックのスキルを伸ばしたいです、という段階の人は対象外で経験者しか募集してないってことなんですか?

yurieshiratoriスワン:そうです。だから既にデザイナーとしての一定の経験値がある人に絞って受講生を募っています。経験年数や年齢はもちろん関係ないですけど、ある程度の実務経験ある人しか受講できないって言い切っちゃっています。さっきあかりさんが仰ってたようにデザインスキルが足りない状況で、他のところに意識を伸ばしても器用貧乏になってしまうので。

デザインを伸ばしていった先に、「なんかこのままデザインだけやっていても、ビジネスの場ではうまくいかないかも」という不安を抱えた人の次のキャリアの背中を押したいなと思っていますし、そういう人が増えたら日本の産業がもっと盛り上がるんじゃないかなと思っています。

swan

kyosuketakahashikyouske:おお、まさにMBAという感じですね。

yurieshiratoriスワン:デザインのその先と一口に言っても範囲が広すぎて、例えばアナリストの勉強をしたらいいのか、それこそMBAなのか、人材開発の能力を身につければ良いのかよくわからないし、ビジネスの印象が強すぎてとっつきにくいというのが、デザイナーのキャリア上の壁になっていると思います。その壁を乗り越えていった先にスタートアップなどの業界を牽引してきたデザイナーのような、稀有な存在のひとがいる印象です。

デザイナー向けにとっつきやすく開かれているビジネスの領域が少ないというのは今結構課題に感じているところですね。

kyosuketakahashikyouske:要素としてはなにがあるんですか?例えば、UXリサーチ、ピープルマネジメントとか。一方でMBAで学ぶようなコーポレートファイナンスの要素って関連低そうだなと思いますし。

yurieshiratoriスワン:コースによっても異なるのですが、共通する要素で言うと事業の価値そのものを作ることと、それをチームを動かして実現するということ、そしてその事業にまつわるコスト感がざっくり持てるという状態を最低ラインにしてみようと挑戦しています。

やはり現実問題としてハッカソンの領域から出るためには、ある程度コスト理解が必要になってきます。その辺の最低限のビジネスモデルのインプットや、その他にも多職種との関わりなどのチームマネジメントの学習が必要になってくるので、本当に重要なのはヒト・モノ・カネで、結局ここに帰ってくるんだなって思います。

スタートアップでフロントを書けるのはわかりやすい価値

kyosuketakahashikyouske:一定のデザインスキルが参加条件というのはわかったのですが、ここにHTML/CSSのようなコーディングスキルは含まれているんですか?

yurieshiratoriスワン:そこは今回は含めていないです。ここについてあか理さんと話したいと思っていたんですけど、コーディングできるできないって私達世代くらいで分断があるなと感じています。

これはいい悪いではなく時代の潮流でしかないと思うのですが、私たちくらいの世代まではギリギリ、デザイナーはフロント書くという文化があると思うんですが、少し下くらいの世代からはネイティブアプリが主流ですよね。なのでデザイナーがUIの実装をするハードルが上がっていて、ネイティブアプリが描画される仕組みを理解しにくい環境に変化してきていると感じています。

それでも例えばWebを作るにしてもstudioとかのノーコードツールが増えてきていますが、根底の概念はdivとかbox構造とかを理解している方が飲み込みが早いメリットもあったりするので、デザイナーにどこまで求めるべきかというのは答えが出なくて悩んでる部分ではありますね。

akariyamashitaあか理:フロントエンドの技術がどんどん専門的になってきていて、デザイナーが手を出せる領域じゃなくなってきつつあるのはそうだなと思う反面で、でもじゃあコード書かなかったらデザイナーってその分どんな付加価値を出すの?という問に対して答えられないひとは活躍の幅が狭まるという状況が生まれていると思います。

スタートアップ一人目のデザイナーになるという意味では、フロントエンド書けるってわかりやすく出せる価値なんですよ。やはり開発スピードが上がるというのは、初期のスタートアップではかなり大きな付加価値になると思います。

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yurieshiratoriスワン:何か一個でも言語触って作る経験がないと、エンジニアの大変さやざっくりの工数がわからなくて、どういうデザインにしたら早くものが世に出せるか、まで考えが及ばなくなっちゃうんですよね。

akariyamashitaあか理:そうそう。まあただ、実際は初期の初期しか書かないんですけどね。それこそ「お金の健康診断」とか一番最初のフロントは私が全部書いてるんですけど、いまは全てのコードが置き換えられました。フロントエンドの人に「同じコード2行ありました」って言われて、本当にすみませんみたいな(苦笑)

でも「同じコードが2行あったからビジネスがうまくいきませんでした」っていうことなんか無いなので、捨てる覚悟で早く書いて、世に出してユーザーさんからフィードバックを貰ったほうが良いんですよ、スタートアップであればあるほど。

kyosuketakahashikyouske:たしかに、スタートアップ初期のビジネスが失敗する真因って絶対そこではないですからね。いやー、それは本当にそうですね。

合理性の高い発想と柔軟性の高さの共存

akariyamashitaあか理:語弊を恐れずに言うと、正直スタートアップの最初のプロダクトは「PMFをはかるためのプロトタイプ」という側面が大きいって思っていて、そこに対してあまりにもちゃんとサステイナブルでスケールするきれいなものを作ってもオーバークオリティになってしまいます。その時点ってそもそもビジネスがサステイナブルじゃないし、スケールするかわからないので、早く作ってPMFを確認することを優先したほうがいいです。

さっきの家の話に例えるなら、家の基礎にものすごく時間をかけているようなスタートアップもあったりします。当然基礎も大事なんですけど、「もう雨が降り始めてるのでまずは早く屋根を作ろう、全ては先に屋根作ってから考えよう」というような、合理性が高い発想ができる人が一人目デザイナーには向いていると思います。

ただ、合理性が高い発想ができる人ってある種、効率至上主義に近い側面もあって、後々のフェーズになってきたときにハレーションが起きやすいので、その辺もうまくやれたりスタンスをシフトできる柔軟性の高い人だと、その後も継続して活躍されている印象です。

一人目デザイナーとその先のデザイン組織

ここだけは本当に好きだし得意という領域があることが大事

yurieshiratoriスワン:たしかに一人目のデザイナーがガンガン事業を立ち上げて、のちに人増えてきた段階で上手く組織化できるかという"成長痛"はみんな悩むところなんじゃないかなと思います。あとはちょっと極端な話かもしれませんが、自分より優秀な人を採るという気持ちの調整ができるかっていうのも、結構大事な要素だとも思うんですよね。

kyosuketakahashikyouske:フェーズ変わったときに会社目線ではどう活躍してもらうかだし、個人目線ではどう付加価値を発揮するかが大事だなと思うのですが、その点に関してお二人はどんな見解を持っていますか?

yurieshiratoriスワン:二人目以降にチームが拡大するということを踏まえても、ここだけは本当に好きだし秀でているという領域を持っていたほうがいいと思っています。

例えば一人目が品質志向の人だったら、その後で人が増えたらピープルマネジメントが好きな人を入れて、一人目だった人はまた現場を背負っていけばいいですし、一方でマネジメントはむしろ得意で、本当にめちゃくちゃ良いグラフィックを作ろうとすると心もとないっていうタイプであれば、品質志向の人を入れればいいと思うので、器用貧乏だとどこかのタイミングで立ち回りに悩んでしまうイメージがありますね。

akariyamashitaあか理:あとは、その先のキャリアパスとしてはPdMになっていく人も多いと思います。

kyosuketakahashikyouske:たしかに。器用貧乏も捉え方を変えるとバランスがいい人ということなので、そういうひとは一定PdMに向いてるかもしれないですね。

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akariyamashitaあか理:キャリアはその人次第なんですけど、一人目のデザイナーを採用する時点でその先の組織をどう描いて、どういう活躍をしてもらうかをある程度意識して採用活動ができると、組織としてはベストだろうなと思います。

1.5人目までを想定して一人目を採用したほうが良い

yurieshiratoriスワン:そう思うと、一人目の話でしたけど、意外と1.5人目ぐらいまでを想定して一人目を採用したほうが良いんだなって今日話してて気づきましたね。最初の正社員デザイナーが入ったあと、結構早い段階で業務委託の人にも来て欲しくなるんだろうなと話してて思いました。

akariyamashitaあか理:一人目デザイナーをやってると、UXリサーチのようなビジネスワークと実際にUIやグラフィックを作るデザインワークのスイッチングコストがとてつもなく高くなるので、ここは切り出して外にお願いしようみたいな発注力とかも大事なのかも知れないですね。

kyosuketakahashikyouske: スマートバンクのtakejuneさんがツイートされてたFigmaのリファクタリングは業務委託の方にお願いしている、とかそういう細かいDesign Opsに近いことの切り出しも該当しますか?

takejuneさんのツイート
takejuneさんのツイート

akariyamashitaあか理:まさにそうですね。あれは本当に共感しました。ご自身がどの領域にエネルギーを集中させるべきなのかをわかったうえで、その領域以外は他のひとにお願いするというのはすごく正しいなと思います。

kyosuketakahashikyouske:​​ということは、一人目の人はデザイン業務のなんたるかを分かっていて、この部分からは外に出したほうが効率が良いということを判断できて切り分けられる人がいい、ってことですよね。なるほど。

スタートアップで自分の仕事を定義するところから決めの力を身につける

yurieshiratoriスワン:業務を設計するという意味でいうと、最近教育関連で調べたのですが、一人目デザイナーを育成して実際に投資先に送り込むためのプログラムだと思うんですけど、VCのD4Vさんが「スタートアップファーストデザイナープログラム」というのをやっています。このプログラムの中で「デザインケイパビリティ」っていう、組織機能を構築する観点で自分の仕事内容を定義するという内容の講義があるんですけど、これがめちゃめちゃ大事だなって思っているんです。このスキルがあれば自分のやる仕事とやらない仕事を決められますし、外注する・しないも決められるので。

最後にすごくポエムな話になっちゃうんですけど、デザイナーって選ばれることに慣れすぎてると思うんですよね。自分自身の話でもあるのですが、新卒時代にA案・B案・C案作ってどれが良いですか?ってお伺いを立てる体験から社会人人生が始まるので、自分で「Aです」と決める決断経験がキャリアの中盤になってようやく生まれてくるケースも多いなと感じます。

だからかもしれないですが、率先して自分で決めるのが苦手なひとって実は案外多いんじゃないかなと思うんですよね。社会人経験が少ない場合はなおさら。このデザイナーという職種の特性上、まず自分のことを定義するというところからスタートアップに入って決めの力を身につけていけると間違いないなと思います。

swan

akariyamashitaあか理:いやもう本当にそのとおりです。スワンさんの言語化能力はすごい。話がわかりやすいし、納得度が高い。

yurieshiratoriスワン:人と話したほうが言語化されますね。昨日までぜんぜん考えてなかったですもん。

kyosuketakahashikyouske: 解像度がぐっと上がって本当に勉強になりました。ありがとうございました。

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